導入の背景
・スタッフへの研修内容の浸透・理解の促進
・動画を活用した研修を実施する上での課題
利用した感想
・複雑化する製品機能のキャッチアップが簡単に
・スタッフの自発的な学習が可能に
今後の展望
・受講者の知識・スキルレベルに合わせた研修の実施
・拠点内の他チーム等への導入拡大
企業にとって「人材育成」は極めて重要な課題の1つ。しかし、教育や研修には多くの人的・時間的リソースを要します。たとえeラーニングなどで研修を効率化しても、知識やスキルをしっかりと定着・浸透させるには、座学だけではなく「人から人へ」のフォローや指導が欠かせず、それ相応の時間や人員が必要となります。
国内・海外約100か所の拠点を持ち、国内トップクラスの規模でコンタクトセンター事業を展開するアルティウスリンク様では、拠点の1つである佐世保センターにおいて「BlendVision AiM」を導入。社員研修やテクニカルサポート業務での活用を通じて、講師役社員の負荷軽減や効率的な“学び”の仕組みづくりなどに関して確かな手ごたえを感じています。
今回は、アルティウスリンク株式会社 CRM第5本部 プロビジョニング推進部の鈴木幸弘さんに、「BlendVision AiM」の導入によって生まれた変化や、さらなる活用拡大の可能性などについてお話をうかがいました。
400名規模のコンタクトセンターは研修・学習の毎日。
社員教育の課題は「知識の定着」と「実施工数の削減」。
アルティウスリンクの主な事業内容について教えてください。
鈴木さん(以下、鈴木):
クライアント様の依頼に応じて、コンタクトセンターやバックオフィス業務などのBPOサービスを提供しています。全国に拠点がありまして、私の所属する佐世保センターでは常時300~400名のスタッフが稼働しています。
多種多様なクライアントのニーズに対してきめ細やかに対応するには、相応の知識やスキルを持った人材を育成する必要があると思います。御社では、どのような教育・研修を行っているのでしょうか?
鈴木:
研修は大きく分けて2種類あります。1つ目は、新たに入社したスタッフに対する研修で、まずは動画を見て自社の情報やコンタクトセンターの役割やビジネスマナー、社内の事務手続きなどについて動画で学習してもらいます。この基礎研修が済んだ後は、配属先のデスクで主にOJTによって実際の業務を学ぶことになります。
2つ目は、既存スタッフ向けの研修。クライアント様からの委託業務が拡張することになったり、使用しているシステムが改修されたり、既存の業務に変更等が発生した際に、新たな知識やスキルをインプットするために研修を実施しています。この研修は、テキスト資料を基にOJTで実施することが多いです。
社員教育・研修を実施するにあたって、どのような課題を感じていますか?
鈴木:
1番の課題は、研修した内容の浸透・理解の促進です。内容の浸透に関するハードルはいくつかあるのですが、大きなものとしてまず研修資料のフォーマットの問題が挙げられます。
最近の製品やサービスは以前に比べて機能などが複雑化しているので、テキストよりも視覚的に理解が進む動画というフォーマットの方が説明に適しています。ですが、動画はあとから見返すのに使いづらいという弱点があります。たとえば、ある機能の操作方法を知りたいだけなのに、必要な情報をピンポイントで抽出することが難しく、どの動画の、どの場所にあるのか探すのに時間がかかります。これから先、動画の教育コンテンツやマニュアルを積極的に活用していくには、こういった使いづらさの解消が必要だと考えています。
また、研修後のフォローアップにも課題を感じています。佐世保センターでは、毎月平均10~15名の新人スタッフが入社し、基礎研修後はOJTで業務を学んでいくのですが、わからないところがあると、その都度、各スタッフがスーパーバイザーに質問しているというのが現状で非常に非効率だと感じています。
テクニカルサポートの現場に導入。
スタッフの自己解決を促し、スーパーバイザーの負担を軽減。
「BlendVision AiM」の導入プロセスを教えてください。
鈴木:
ITサービス企業のテクニカルサポートを行うチームの1つに「BlendVision AiM」を導入しました。導入にあたっては、新人研修用の動画を約10本、製品やシステムの操作法などに関するマニュアル動画を50本ほどAiMに読み込ませて各種機能の確認やテストを実施し、その結果をふまえて実務での利用をスタートしました。
スムーズな導入に向けて工夫されたことはありますか?
鈴木:
実際に現場で使う前に、AiMにいろいろと質問して回答内容をチェックしました。その結果わかったのですが、思ったような回答を得るには質問の仕方が重要で、内容を絞り込んで質問した方が回答の精度が高まるようです。例えば「●●と▲▲は、どちらがいいか?」など、AiMに選択を求めると回答に困るようです。逆に「●●の操作法について説明せよ」など、穴埋め的な質問に関してはかなり正確な回答が得られました。
業務の現場では、どのように「BlendVision AiM」を活用しているのでしょうか?
鈴木:
配属当初に動画で知識やスキルを学ぶとはいえ、やはり人間ですから、時間とともに記憶が薄れていきます。特に使用頻度の少ないオプション機能などに関しては、どうしても頭から抜けてしまいがちです。そういった部分を補完するツールとしてAiMを活用しています。
業務において「この機能は、どうやって操作するんだっけ?」といった疑問が出て来たら、AiMに質問を投げかけて、ピックアップされた動画箇所を確認することで、自主的に学習してもらうことで知識の定着に役立てるようにしています。
現在は既存スタッフによる活用が中心ですが、今後は新しく入ってきたスタッフの研修にもAiMを使っていきたいと考えています。新人研修コンテンツを自主的に学習してもらったり、OJTの代わりにAiMを活用して自主的に知識やスキルを学んでもらうといった使い方ができればと考えています。
「BlendVision AiM」を研修の現場で活用するメリットはどの点にあると思いますか?
鈴木:
動画マニュアルは複雑な操作でも視覚的に理解できるので、テキストマニュアルよりもわかりやすく、理解しやすいのですが、テキストのように内容の検索ができないため、知りたい情報に素早くアクセスすることが難しいという側面もあります。特に30分を超える長めの動画になると、情報を探し出すのに相当の時間がかかります。
AiMは、そういった動画コンテンツの弱点を克服できるツールです。チャットボットに質問するだけで必要な情報をテキストで回答してくれますし、情報ソースとなる動画の箇所もピックアップしてくれるので、研修動画というコンテンツを最大限に活用できると感じています。
AiMの導入前と導入後で、どのような変化が生まれていますか?
鈴木:
OJT形式で行う研修や研修後のフォローアップなどで発生する「講師の負荷」という課題に対しても手ごたえを感じています。
以前は、自分だけでは解決できない疑問点や不明点があると、その都度、先輩社員などに問い合わせていました。そうすると質問された側は、関連する資料を探して、説明して、といった対応をすることになり、それがけっこうな負荷になっていました。
しかし、AiMを活用すれば、先輩社員などの手を煩わせることなく、自分自身で必要な情報を入手して自己解決することができます。先輩社員が調べて回答する場合と比べると、AiMを使った方が体感で6割くらい対応時間が削減されると感じており、これは非常に大きなメリットだと思います。
それから、ユーザー様の問い合わせに対して、必要な情報をピンポイントですぐに探し出せるようになったことも大きな変化かと思います。私たちの業務は正確性が何よりも重要ですので、必要な情報の在り処を調べ、その情報ソースをスタッフの目で確認した上で回答するといった運用を行っています。AiMのチャットボットに知りたい情報を尋ねると、質問の回答と一緒に一次情報が表示されるので、正確な回答の手助けになります。
受講者の知識レベルに合わせた学びが可能に。
他チームへの横展開も模索。
今後の展望についてお聞かせください。
鈴木:
既存スタッフの研修に関して、今後は受講者のレベルに合わせた“学び”が可能になるのではないかと考えています。
スタッフの知識やスキルは、人によってそれぞれ異なります。にもかかわらず、新人もベテランもみんな同じような教え方をするのは非効率です。でも、AiMを使えば、自分の苦手なスキルや足りない知識ところなど、必要に応じてみずから情報収集して、みずから学ぶことができるので非常に効率的。また、人に教わるよりも自分で能動的に調べた方が知識の定着も高まるかと思いますので、そういった面でも効果を期待できると感じています。
このような活用の道が見えてくると、私が管轄しているデスクやセンター全体にも、取り組みを広げて、より効率化や効果的な研修の姿を目指せるのではないかと考えています。