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【企業向け】LMSとは?導入メリットや活用法を紹介

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企業における人材育成の手法は急速に進化しており、その中核を担う存在として注目されているのが「LMS(Learning Management System:学習管理システム)」です。

本記事では、LMSの基本的な概念から、導入によるメリット、選定のポイントや活用事例、そして今後LMSはどう発展していくか?までをわかりやすく解説します。LMSを活用した企業事例も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

LMSとは?

LMSとは、「Learning Management System(学習管理システム)」の略で、企業が従業員への研修や教育を効率的に運用・管理するためのシステムです。主な機能には、オンライン学習コンテンツの配信、受講者の学習進捗管理、テストの実施、成績評価などがあり、社員教育に関するさまざまな機能を一元的に管理できます。

この仕組みが登場した背景には、新興技術や新しい法令、競争の激しい市場環境などによって、企業が従業員の人材格差やスキル不足へ対応する必要性がありました。(AI技術の登場などはわかりやすい一例です。)

LMSは、この変化の激しい時代に社員が研修や教育を通じて、継続的に学び続ける組織を作るために生まれた仕組みと言えるでしょう。

LMSの主な機能

1. 学習教材の管理・配信

PDF、PowerPoint、動画など、さまざまな形式の教育教材をLMS上にアップロードして管理が可能です。一度アップロードしておけば、部門や職種、役職、または入社タイミングの異なる人など、受講対象者ごとにその時必要な講座を一括で、効率的に配信可能です。 また、対象者のみアクセスできる権限設定もできるので、必要な従業員だけに適切なコンテンツを届けられます。

2. 受講者の進捗管理・評価

誰が、いつ、どの教材を、どの程度学習しているかを、ダッシュボードでリアルタイムに確認できます。また、受講した内容をどの程度理解しているかの理解度テストもプラットフォーム上で実施可能です。これらの受講履歴やテスト結果はシステムが自動で行ってくれるので、教育効果の測定や可視化、また研修内容の改善にも役立ちます。

3. コミュニケーション・協働機能

学習者同士の意見交換や質問対応ができる機能や、講師や教育担当者への質問・フィードバック機能がついたものも。これにより、受講者の学習意欲を高め、疑問点の即時解消にもつながります。また、受講期限が近くなった時や期限切れした際のリマインド通知を行うこともでき、研修運用者の工数削減も可能です。

4. コース作成

 LMS上で教育教材を管理しておけば、人と研修目的に合わせたオリジナルのコースを作成することが可能です。たとえば新入社員なら企業・商材理解や社内ツールの使い方、コンプライアンス研修をコース化して提供できますし、マネジメント・リーダーシップ研修など役職ごとに受講すべき必修教材もコース化しておけば、都度アレンジする必要はありません。


5. その他

LMSによっては、認定証や修了書が発行できるものや、人事システムと連携できるもの、スマートフォンやタブレットなどの複数デバイス対応しているものもあり、各社特色のある機能を持ったシステムを提供しています。

LMSを利用するメリット

このようにさまざまな機能を持つLMSですが、利用するメリットは主に以下があげられます。

研修担当者の負担軽減

これまでの対面の企業研修は、講師のスケジュール調整をして、会場を予約・準備して、受講者のスケジュール確保して、研修用の教材を準備して…と物理的に必要な準備物がたくさんありました。その点、LMSであれば教材さえ準備しておけば、オンラインで受講者のタイミングで好きな場所で受講することができ、研修を運営する担当者の負担が大幅に削減されます。

受講状況の可視化と管理の簡略化

LMSであれば、受講未受講・受講の進捗度合い・テストの結果がリアルタイムで可視化されるため、未受講者の把握や受講後のフォローが簡単にできます。従来型の研修の場合、当日出欠を確認し、誰がどの研修を受講しているかをチェックし、テストの結果もExcelで管理…と非常に手間のかかる作業でした。これらが1プラットフォーム上で完結できるようになり、管理の手間を減らせます。

教育の効率化と標準化

事業所が複数拠点にまたがると、たとえば新入社員や中途社員が入社した時、また新しい技術や知識を身につける必要がある場合、それぞれの拠点の講師の教え方によって受講者のスキルや知識にばらつきが出ていました。その点、LMSであれば講師を同じくして、同じクオリティの教材が提供可能です。これにより、社内でのスキルや知識のばらつきがなくなり、業務の標準化が進みます。

 研修効果の見える化・改善

受講履歴やテスト結果を分析し、どこで理解が進んでいないか、つまずきポイントはどこか、またフォローアップが必要な点はどこかを把握することができます。また、全社の受講状況やつまずきポイントを可視化することで、その後の研修で強化する点や改善点が見えることで、研修自体のPDCAサイクルが回しやすくなる点もメリットです。

LMSを利用するデメリット

社員教育にかかるリソース削減と研修の最適化など、メリットの多いLMSですが活用にあたって気をつけたいポイントもいくつかご紹介します。

導入・運用コストがかかる

初期導入費用や月額利用料、またオプション機能に追加費用がかかるケースがあります。また、利用人数に応じてかかる費用が変動する料金体系のものもあるため、事前にいくらくらい必要になるか、見積もっておく必要があります。無料トライアルや一部部門でお試し導入するなど、必要な機能や効果をシミュレーションした上で活用しましょう。

社員のITリテラシーに依存する

新しいツールの導入となると、これまで慣れてきたやり方とのギャップに戸惑ったり、インターフェースや機能に対して、「使いづらい」「使い方がわからない」などの声が出て、結果使われないシステムになることも。導入前には操作マニュアルやFAQ、オンボーディングなどのサポート体制を入念に準備した上で、使ってもらうようにしましょう。

一方向的な学習になりがち

LMSの性質上、動画や資料をオンラインで視聴する形態が多くなるため、質問やフィードバック、ワークショップなどのインタラクションは対面に比べて少なくなります。コメントやチャット機能がついているもので補ったり、LMS上だけで完結させようとせず、対面の研修と組み合わせたカリキュラム設計にするなど、相互に補完しあう形が望ましいです。

LMS選定のポイント

実際に企業がLMSを導入するとなった時、どのような点に気をつけたらよいでしょうか?

ここでは導入前に確認しておくべきポイントを解説したいと思います。

目的の整理と必要機能の洗い出し

学習・教材・ユーザー管理などの基本機能のほか、多言語対応、教材編集機能や多言語対応、テスト作成などLMSによって実装されている機能はさまざま。自社の目的にあったシステム導入のため、あれもこれもではなく、目的を達成するために必要な機能の洗い出しを行いましょう。

操作性・UI

あれもこれもと機能を選定していったら、複雑なシステムを導入してしまって、結果使われなかった…ということがないように、使用者が使いやすいかどうかも重要。現場スタッフでも直感的に使えるか?ITリテラシーが高くない社員にも対応できるか?など、利用者目線で考えてみましょう。

対応コンテンツ

LMSによって対応している研修フォーマットはさまざまです。動画、PDF、SCORM、テスト形式など、自社で保有する、もしくはこれから制作予定の教材形式に対応しているかどうかもチェックしましょう

対応しているデバイス

PCだけでなく、使用場所によってはスマホやタブレット端末で確認するケースが発生することも。想定している使用箇所で快適に使えるか、外出先や現場でも学習可能かを確認しましょう。

セキュリティと権限設定

特に自社で制作している研修教材の場合、秘匿情報やその企業だけのオリジナルの内容、または研修教材に社員が登場する場合、個人情報への配慮も必要です。情報漏洩防止のため、堅牢なセキュリティが確保されているかどうかも重要なポイントです。

サポート・導入支援体制

導入時の設定や、運用開始までのオンボーディングサポートがあるかどうか。また、システム導入後も継続的な改善を行っていく必要があるので、継続的なサポートが得られるか?こちらも確認しておきましょう。

社内でLMSを活用・定着させるコツは?

導入してみたはいいけれど、全く使われなかった…ということがないように、運用フェーズには以下のような観点も考慮して進めるとスムーズです。

最初から100点を狙わないこと

多機能=使いやすいとは限らず、インターフェースが複雑になりすぎて使いづらくなることも。まずは必要最低限の機能から使い始めて、必要に応じて機能やできることを増やしていくのがおすすめです。

無料トライアルで検証

実運用の前に、必ずお試し利用して「目的は達成できそうか?」「日々の運用はしやすいか?」「画面は初見でもわかりやすいか?」などを体験してから導入を進めましょう。

FAQ・ヘルプページの整備

わからないことがあったらすぐ調べることができるFAQページの整備も必要です。専用のチャットルームを立ち上げて、全員見られるようにしておくのも有効です。

上層部を巻き込む

マネージャーが使わないものは、部下も使いません。上層部が積極的に活用するよう働きかけ、現場への定着を促進しましょう。

現場の声をヒアリング

定期的に実際に学ぶ社員や、管理する教育担当者へのヒアリングをすることで、改善点の洗い出しやアイデア出しを行いましょう。利用者の意見を取り入れつつ、改善のサイクルを回していくことが大切です。

今後のLMSの発展は?

ここまでご紹介してきた機能も十分に魅力的なLMSですが、今後どのように発展していくのでしょうか?今後の進化として、私たちは3つの方向性があると考えています。

AIとLMSの融合によるLXPの登場

AI(人工知能)技術の進化により、個々の学習者のこれまでのスキルや知識レベル、これからのキャリアパスに応じて、最適な学習コンテンツを提案したり、学習進捗の予測を行ったりするLXP=Learning Experience Platform(学習体験プラットフォーム)が登場しつつあります。

これまでのLMSが教育担当者の工数削減に重きを置かれているのに対して、LXPは受講者の受講体験向上を目的にデザインされており、より各人に最適化されたカリキュラムが組まれることにより、効果的な教育・学習が進むと考えられます。

マイクロラーニングと学習効率の追求

社員教育の世界もタイパ重視の学びが重要視され、スキマ時間に効率的に学びを得たいと考える人が増えています。そのため、いつでもどこでも学べるスマートフォンやタブレットでの学習が前提となりつつあります。また、スキマ時間の有効活用という観点で、教材自体はモバイルと相性のよい動画化が進み、5~10分程度の短尺のコンテンツが増えていくのではないかと想定されます。

人材戦略との連動

LMSは単なる教育管理システムの枠を超え、今後はより企業の人材戦略と紐づいたツールに進化していくことが考えられます。例えば、人事評価ツールと連携した分析データをもとにした、今企業が必要としている人材・ポジションへのキャリアチェンジや昇進すべき人材の炙り出しなどに貢献してくれるかもしれません。

今後、LMSは単なる教育インフラではなく、企業の人材戦略の中核となる存在としてますます重要性を増していくでしょう。

LMSを活用する企業事例

アルティウス・リンク株式会社

全国に100か所を超える拠点を持ち、国内トップクラスの規模でコンタクトセンター事業を展開するアルティウス・リンク株式会社では、拠点の1つである佐世保センターでは、各スタッフの知識・スキルレベルに合わせた研修のために「BlendVision AiM」を導入しました。

同社では、毎月10~15名ほど入社する新入社員向けの入社時研修に活用、研修担当者の負担軽減に貢献しました。また、コンタクトセンターで対応する複数の製品理解のために定期的に実施するOJT研修のフォローアップ・理解促進のために活用、知識やスキルの定着に貢献しています。

関連記事:https://blendvision.com/ja-jp/voices/altius-link

まとめ

LMSは、企業の社員教育・育成課題を解決するための強力なツールです。うまく使いこなすことによって、教育の効率と質が向上し、従業員のスキル強化にもつながります。

本記事が、LMS導入の第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

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